「解き方は分かっているのに、頂点の座標だけ答えと合わない」

平方完成でつまずく人の多くは、計算力が足りないわけではありません。毎回、同じ1箇所で同じ間違いをしているだけです。この記事では、その2パターンを実際の誤答と一緒に見て、30秒でできる検算まで紹介します。

結論:ミスは2パターンしかない

平方完成の間違いは、ほぼこの2つに集約されます。

  • 足したぶんを引き忘れる(または符号が逆になる)
  • かっこの外に出すとき、x2 の係数を掛け戻さない

とくに多いのは2番目です。x2 の係数が 1 のうちは正解できていたのに、2 や 3、分数が出てきた途端に合わなくなった——という人は、まず2番を疑ってください。

パターン1:足しただけで、引き忘れる

実際の間違い

y = x² + 6x + 1 = (x + 3)² + 1 ← ここが違う

一見すると正しそうに見えます。でも展開して確かめてみましょう。

(x + 3)² + 1 = x² + 6x + 9 + 1 = x² + 6x + 10

元の式は x² + 6x + 1 なので、9 だけ多くなってしまっています

正しくはこう

y = x² + 6x + 1 = (x + 3)² − 9 + 1 ← 足した 9 を引いて打ち消す = (x + 3)² − 8

頂点は (−3, −8) です。

なぜ間違えるのか

x の係数の半分を2乗して足す」という操作だけを暗記しているからです。

平方完成でやっているのは、式を変形しているだけで、値を変えているわけではありません。勝手に 9 を足したなら、同じ 9 を引いて元に戻さないと、別の式になってしまいます。ここが腑に落ちていれば、引き忘れは起きません。

パターン2:係数を掛け戻さない(最頻出)

実際の間違い

y = 2x² + 12x + 5 = 2(x² + 6x) + 5 = 2(x + 3)² − 9 + 5 ← ここが違う = 2(x + 3)² − 4

引き算はちゃんとしているのに、答えが合いません。理由は、引いた 9 が、かっこの中の話だからです。

正しくはこう

y = 2x² + 12x + 5 = 2(x² + 6x) + 5 = 2{(x + 3)² − 9} + 5 ← まず中カッコで包む = 2(x + 3)² − 18 + 5 ← 中の −9 に 2 を掛けて外に出す = 2(x + 3)² − 13

頂点は (−3, −13)。誤答の −4 とは 9 もズレています。

なぜ間違えるのか

かっこの中で引いた数を、そのまま外に持ち出してしまうからです。中カッコ { } を書く一手間を惜しむと、ほぼ確実にここでミスが出ます。面倒でも書いてください。

x² の係数が分数のときも同じです。−9 × 1/2 = −4.5 のように、掛け戻しを忘れると符号だけでなく大きさも狂います。

正しい手順(3ステップ)

ステップ1|x2 の係数でくくる

定数項はくくりません。 x²x の項だけです。

y = 3x² − 12x + 7 = 3(x² − 4x) + 7

ステップ2|かっこの中を平方完成する

x の係数の半分を2乗して、足して引く。ここでは −4 ÷ 2 = −2、その2乗で 4 です。

= 3{(x − 2)² − 4} + 7

ステップ3|かっこを外す。中で引いた数に係数を掛ける

ここが山場です。−43 を掛けて −12 にしてから外に出します。

= 3(x − 2)² − 12 + 7 = 3(x − 2)² − 5

頂点は (2, −5)、軸は x = 2 です。

30秒でできる検算

平方完成した式が y = a(xp)² + q の形になったら、元の式に x = p を代入してみてください。

さきほどの例なら、元の式 y = 3x² − 12x + 7x = 2 を入れて、

3 × 4 − 12 × 2 + 7 = 12 − 24 + 7 = −5

平方完成した式の q = −5 と一致しました。合っています。

かかる時間は本当に数十秒です。これを癖にするだけで、平方完成の符号ミスはほぼ消えます。 テストで見直す時間がないときこそ、その場で検算してください。

自分がどのミスをしているか確かめる

上の説明を読んで分かった気になっても、実際に手を動かすと同じところで止まります。係数を変えながら5問くらい続けて解くと、自分がどちらのパターンなのかがはっきりします。

二次関数ドリル|頂点(平方完成)

x² の係数が 1 の問題と、2 や −2 の問題を切り替えられます。係数が変わった瞬間に間違えるかどうかで、パターン2かどうかが判定できます。答え合わせをすると、どのパターンの間違いかも表示されます。

ドリルを解く

よくある質問

公式を丸暗記するのはダメですか?

y = a(x + b/2a)² − (b² − 4ac)/4a を覚えてしまう方法もあります。ただ、この公式は分数が二重に出てくるので、代入ミスの温床です。

平方完成は数学 I の後も、二次不等式・二次方程式・軌跡・積分と、形を変えて何度も出てきます。手順で解けるようにしておいたほうが、結果的に楽になります。

分数が出てきたときはどうすればいいですか?

手順は同じですが、ステップ1でくくった時点で分数になることが多いので、中カッコを必ず書くルールを徹底してください。

y = (1/2)x² + 3x + 1 = (1/2)(x² + 6x) + 1 = (1/2){(x + 3)² − 9} + 1 = (1/2)(x + 3)² − 9/2 + 1 = (1/2)(x + 3)² − 7/2

−91/2 を掛けて −9/2 にする、この一手間だけです。

そもそも、なぜ平方完成するのですか?

y = ax² + bx + c の形のままでは、グラフの頂点がどこにあるか分かりません。y = a(xp)² + q の形にすると、頂点が (p, q) だと一目で読めます

頂点さえ分かれば、グラフの概形が描けて、最大値・最小値も、x 軸との位置関係も判断できるようになります。平方完成は、そのための「読める形への翻訳」です。

まとめ

  • 平方完成のミスは「引き忘れ」と「係数の掛け戻し忘れ」の2パターン
  • x² の係数が 1 以外のときは、必ず中カッコを書く
  • 平方完成したら、x = p を元の式に代入して30秒で検算する